世界銀行の発表した男女格差の調査によると、日本のスコアは78.8で190ヶ国中103位と非常に低い順位となっているという報道だった。
ブックマークを読んでいたところ元データが公開されていて確認したところ、色々なことが分かったので書いておくことにする。
wbl.worldbank.org
共同通信の103位に急降下自体の記事自体がおかしい
この団体の指標はとても良いことに全データが公開されており、内容を全て確認することができる。順位が下がった原因が記事では分からなかったので調べてみようと元データを見たところ、驚愕の真実が!
2021年と2022年のスコアが同じなのだ!あれ?
この生データ上で順位を確認すると、2021年の順位は98位だった。
2022年は報道通り103位なので数え方は間違っていないはず。
共同通信さんの80位と違うぞ?どういうことだ?
実は2021年のレポートを見るとちゃんと80位なのだ。
https://openknowledge.worldbank.org/bitstream/handle/10986/35094/9781464816529.pdf
スコア81.9、80位となっている。
いつの間にか2021年のスコアが変わっているのだ。
スコア算出方法が変わったのか、データが修正されたのか原因が何かまでは調べてないが、
この1年で順位が大きく変動したという報道はほとんどウソに近い話なのだ。
少なくても、
2022年レポート基準で言えば日本は10年以上何にも進歩していないまま低い水準だし、他国は改善されているので順位はどんどん落ちるだろう。
は事実と捉えておくのがいいでしょう。
じゃあ何が原因で世界的に見て低いの?
順位変動とか割とどうでもよく、実際の男女格差こそが問題でしょう。
スコアの内容を見てみる。
Payのスコアが明らかに低い。WorkPlaceも低いがとりあえずPayの内容を見よう。
大項目が4つありそれぞれのYesにつき25点とシンプルな算出のようだ。
1つ目の項目では
Q.Does the law mandate equal remuneration for work of equal value?
A.No
同一労働同一賃金が法律で義務付けられてますか?といった内容で
一応、2020年から2021年に同一労働同一賃金をしようと法改正してるが、まったく実践されてないのでNoの回答でいいでしょう。
残りの2項目はいずれも労働基準法64条について言及されている。
該当は64条2、64条3.2とのこと。
(坑内業務の就業制限)第六十四条の二 使用者は、次の各号に掲げる女性を当該各号に定める業務に就かせてはならない。一 妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後一年を経過しない女性 坑内で行われるすべての業務二 前号に掲げる女性以外の満十八歳以上の女性 坑内で行われる業務のうち人力により行われる掘削の業務その他の女性に有害な業務として厚生労働省令で定めるもの(危険有害業務の就業制限)第六十四条の三 使用者は、妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない。② 前項の規定は、同項に規定する業務のうち女性の妊娠又は出産に係る機能に有害である業務につき、厚生労働省令で、妊産婦以外の女性に関して、準用することができる。③ 前二項に規定する業務の範囲及びこれらの規定によりこれらの業務に就かせてはならない者の範囲は、厚生労働省令で定める。
妊婦または産後に危険な仕事や、鉱山労働をさせてはいけない内容のようだ。
平成18年に一部改正され緩和されたが、この制限自体がまだまだ不平等だという指摘だ。
危険な業務での妊婦への対応だろうと法律で女性労働を制限するのは国際的には男女平等に反しているという話になるようだ。
(23:22 追記)
指摘があったが、64条2、64条3.2は妊婦以外にも適用される内容で女性労働基準規則に定められるように
女性はトンネル工事や鉱山労働のほか、一部の有害物質を被爆する場所での就労ができない法律になってるようだ。
本件指標に憤り男女平等が進んでないと思う人々はまず、妊婦に危険業務をさせない法律自体が男女不平等だと主張するのがいいでしょう。
ホントかよ?
ちなみに危険作業2項目が法改正されてPayのスコアが75まで延びれば、総合スコアは85まで改善されることに。約60位まで順位は急上昇して韓国と同水準まで簡単に改善します。
そのくらい雑な指標だという話でもあるけど。